MONSTAR-SCREEN-3試験では、ベースライン血中循環腫瘍DNA(ctDNA)検出率100%、さらに術後1か月で陽性と判定された患者の60%においては、超高感度な分子的残存病変(MRD)検出によってのみ腫瘍成分を検出

SALT LAKE CITY、2025年6月2日— 遺伝子検査およびプレシジョンメディシンのリーダーであるMyriad Genetics, Inc.(NASDAQ: MYGN)(以下、ミリアド・ジェネティクス)は本日、日本の国立がん研究センター東病院(NCCHE)との共同研究「MONSTAR-SCREEN-3試験」における超高感度な分子的残存病変(Molecular Residual Disease: MRD)に関する新たな臨床データを発表しました。本データは、ミリアド・ジェネティクスのPrecise™ MRD検査を用いて患者の血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を検出・モニタリングする手法が、がん種を問わず適用可能であることが実証されたことを示しています。

この中間解析結果は、2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて、国立がん研究センター東病院の橋本直佳 先生(MD, PhD)により発表されました。従来評価が困難とされてきたがん種を含め、全症例においてctDNAのベースライン検出率100%を達成しました。主な成果は以下の通りです。

  • 最大1,000個の体細胞変異を対象とした個別化全ゲノムシーケンシング(WGS)パネルが、97.3%の患者において作成されました。
  • Precise MRDは、腫瘍由来DNA割合が0.0001%(100万分の1)という極めて低濃度でも検出可能であり、画像診断よりも早期に再発を予測する臨床的有用性を示しました。
  • 術前化学療法中にctDNAが消失した症例では、病理学的完全奏効(pCR)との相関が認められました。

SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験の責任医師である吉野孝之 先生(MD, PhD)は次のように述べています。
「先行研究により、ctDNAベースのMRD検出は再発リスクと有意に相関し、特定のがん種において補助化学療法の有効性を予測する指標となることが示されています。しかしながら、第1世代のMRDアッセイは、ctDNAの放出量が少ない腫瘍に対しては感度が限定的であると考えられます。本研究では、がん種を問わず高感度な検出が可能なPrecise MRDを採用しました。」

また、橋本先生は次のように述べています。
「術後1か月時点でctDNA陽性と判定された検体のうち、60%は超高感度領域に該当するctDNAレベルであり、これは第1世代のMRD検査では陽性と報告されなかった可能性があります。さらに、これらの患者はctDNA陰性群と比較して有意に短い無病生存期間を示し、ctDNAの高精度な検出が臨床的に極めて重要であることが示唆されました。」

ミリアド・ジェネティクスの最高科学責任者(CSO)、Dale Muzzey博士は次のように述べています。
「本試験の初期データは、Precise MRDをがん種を問わず活用することで、患者ごとの個別化治療や治療戦略の最適化に大きく貢献できる可能性を示しています。Precise MRDは全ゲノムシーケンス(WGS)に基づいており、従来の第1世代MRD検査を大きく上回る数千の腫瘍特異的変異の追跡が可能です。このような多数の変異を追跡することで、乳がんや腎がんなどctDNAの放出が少ないがん種においても極めて高い感度を実現しています。また、当社の超高感度アッセイの重要な利点の一つは、ctDNAの結果に対する信頼性の高さであり、術前治療後のctDNAステータスが病理学的奏効と強く相関していることが確認されました。」

SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験について

SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験では、MRDを含むマルチオミクス解析を活用し、3つのコホート研究において、より個別化された治療および治療戦略の開発を目指しています。

本試験の一環として、20種類以上のがん種にわたる約1,200人の患者を対象に、Precise MRDによるMRDモニタリングが実施されています。本試験の目的は、MRD検査が「ctDNAの放出が少ないがん」を含む多様ながん種や、病期・重症度の異なる患者に対しても広く適用可能であることを示す、高品質かつ前向きな臨床エビデンスを創出することです。ctDNAレベルは、診断時、術前治療後、手術後、さらにその後2年以上にわたり3〜6か月ごとに評価されます。

ミリアド・ジェネティクスのPrecise MRD検査について

ミリアド・ジェネティクスのPrecise MRD検査は、腫瘍情報に基づいた全ゲノムシーケンス(WGS)ベースの検査であり、数百から数千の腫瘍特異的変異をモニタリングすることで、がん患者の血中ctDNAを極めて高感度かつ定量的に検出することが可能です。この検査は、診断直後から治療期間を通じて、がん患者の臨床経過におけるctDNAレベルのモニタリングに使用できます。Precise MRDは、ミリアド・ジェネティクスと学術機関または製薬企業の研究者との共同研究において利用可能です。

ミリアド・ジェネティクスは、がん患者、学術パートナー、バイオ医薬品企業のニーズに応えるべく、Precise MRDアッセイの開発を継続しています。この検査は現在、複数の重要な研究で評価されており、ユタ州ソルトレイクシティにある同社の研究施設で実施されています。

ミリアド・ジェネティクスのオンコロジー部門について

ミリアド・ジェネティクスのオンコロジー部門(Myriad Oncology™)は、リスク評価、スクリーニング、治療方針決定支援ツール、サバイバーシッププランニングを含む、先進的な遺伝子および腫瘍ゲノム検査ソリューションを提供しています。これらのソリューションは、がん診療に携わる専門医とその患者の多様なニーズに対応するよう設計されており、診断から治療、経過観察に至るまで、患者ケアのあらゆる段階を包括的にサポートします。

ミリアド・ジェネティクスについて

ミリアド・ジェネティクスは個人の重要な遺伝情報を提供することで人々の健康と日常生活を豊かにする遺伝子検査とプレシジョンメディシンのリーディングカンパニーです。ミリアドは複数の医療分野において、病気の発症リスクを判定し、病気の進行リスクを評価し、医療従事者による患者ケアを改善し、医療コストの削減を実現できる遺伝子検査の開発および商品化を行っています。詳細はこちら(英語日本語)をご覧ください。

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