バリアント分類の重要性

ミリアドにおける臨床的意義が不明のバリアント(VUS)低減のためのアプローチ

はじめに

ヒトゲノムには多種多様な遺伝子変異が存在しています。多くのバリアントについては、病的なバリアントであるかどうかに関する明確なエビデンスが得られていますが、それ以外のバリアントには科学的知見が得られていないのが現状です。臨床的意義や疾患との関連性が不明な遺伝子配列の変化を、臨床的意義が不明のバリアント(VUS)と言います。VUSはミリアドの遺伝子検査結果で報告されます。生殖細胞系列遺伝子検査(遺伝学的検査)でVUSが認められた人は、学会ガイドラインに従って、既往歴および家族歴に基づいて管理されなければなりません[1]

遺伝子検査でVUSが認められることはごく普通であり、想定される結果です。しかし、ミリアドでは、確定的な分類により最適な医療・ケアが可能となり、遺伝子検査の不確実性を低減できると考えています。ミリアドで確認されたVUSについては、独自の分類プログラムmyVision®により継続的な評価を行っています。この頑健な再分類プログラムにより、過去数年間でVUS率は大幅に減少しました。BRCA1/2のVUS率は、アジア人で2005年に14.4%でしたが、2010年で8.3%、2015年には5.7%と、10年間でおよそ9%低下させることができ、2020年にはさらに4.6%まで低下しており(図1)、この 傾向はさらに継続することが期待できます。

方法

American College of Medical Genetics(ACMG)およびAssociation for Molecular Pathology(AMP)による分類ガイドラインが、ミリアドのバリアント分類の基本ですが、これまでの検査経験から得られた知見をもとに独自の分類ツールを開発・改良し、これらのガイドラインをさらに強化しています。ミリアドではバリアント分類法として、文献レビュー(LitView)、ホモ接合性/In Trans共起解析、変異共起解析(M-Co®)、分離比分析、構造解析、がん既往歴重み付けアルゴリズム(Pheno®)、集団解析、RNA/スプライシング解析(InSite®)の8種類の方法を用いています(図2)。これらはそれぞれ全VUS率の低下に重要な役割を果たしていますが、そのうちのいくつかは特に大きな影響を及ぼしています。

 

結論

臨床的意義が不明のバリアント(VUS)は遺伝子検査で日常的に検出されるものですが、検査前後のカウンセリングで適切な説明を行ったとしても、不安や誤解を招く可能性があります。したがって、バリアントを正確に分類・再分類することの重要性はいくら強調しても強調しすぎることはありません。ミリアドは、これまでに培った経験を活かすとともに、バリアント分類に継続的に投資することにより、ACMGガイドラインと精度の高い独自の分類ツールを統合したダイナミックなアプローチを実現しました。その結果、全VUS率は一貫して減少し続けています。新しいバリアントが日々発見され、ミリアドの遺伝子パネルに追加すべき新たな遺伝子がないか継続的な評価が行われていますが、VUS率は減少し続けると予想されます。確定的な分類により、臨床的に意義のある結果を報告することで、患者さんとご家族の不安をやわらげることができるように医療従事者をサポートします。

文献

[1] Daly MB, Pilarski R, Berry M, et al: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian (Version 3.2019), NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, 2019.